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アルコール飲料に関する四方山話

注)このページに関する内容は全て「ウィキペディア フリー百科事典」からの抜粋引用です。
内容は日々更新されていますので原本
http://ja.wikipedia.org/ で最新版をチェックしてください。

アルコール飲料(アルコールいんりょう)とは酒精、すなわちエチルアルコール(エタノール)が含まれた飲料である。
酒類」や単に「(」(広義)、またソフトドリンクに対してハードドリンクとも呼ばれる。
日本酒税法では、アルコール分を1%以上含む飲料と定義され、酒税の課税対象となっている。
そのため、本来江戸時代にはアルコール飲料であったみりん(本みりん)は
アルコールを10%以上含むため調味料として使用される場合でも課税対象となる。
製造方法や原料等は多種多様だが、原材料から発酵によってエチルアルコールを生成することで共通している。
アルコール飲料の製造および販売は、日本を含む多くのにおいて、法律(日本では酒税法や未成年者飲酒禁止法)により制限されている。


酒とアルコール

酒に含まれるアルコール分はほとんどの場合、酵母によるアルコール発酵によって作られる。
(テキーラは例外的にザイモモナスと呼ばれる細菌をアルコール発酵に使用している。)
果実から作られる酒(ワイン)は、果実中に含まれる糖分から直接アルコール発酵が起こる。
しかし、麦・米・芋などの穀物類から造る酒の場合、原材料の中の炭水化物デンプンの形で存在しているため
先にこれを糖に分解(糖化)する。糖化のためにはアミラーゼ等の酵素が必要である。
酵素の供給源として、西洋では主に麦芽が、東洋では主にが使われる。

酒の分類

酒は大きく分けて醸造酒蒸留酒混成酒に分かれる。醸造酒は単発酵酒と複発酵酒に分けられ
複発酵酒は単行複発酵酒と並行複発酵酒に分けられる。
醸造酒:原料をそのまま、もしくは原料を糖化させたものを発酵させた酒。
単発酵酒:原料中に糖分が含まれており、直接発酵するもの。複発酵酒:穀物などデンプン質のものを原料とし
糖化の過程があるもの。単行複発酵酒:糖化の過程が終わってからアルコール発酵が行われるもの。
ビールなど。並行複発酵酒:糖化とアルコール発酵が同時に行われるもの。清酒など。蒸留酒:醸造酒を蒸留し
アルコール分を高めた酒。混成酒:酒(蒸留酒が主に使われる)に他の原料の香り・味をつけ
糖分や色素を加えて造った酒。蒸留酒のうち、熟成を行わないものをホワイトスピリッツ
何年かの樽熟成で着色したものをブラウンスピリッツとする分類法がある。ただし、
テキーラ
ラムアクアヴィットなどではホワイトスピリッツとブラウンスピリッツの両方の製品があり、分類としては本質的なものではない。

人体への影響

医療情報に関する注意:ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。

アルコール飲料(エタノール)を摂取すると人間は酔う。
酔いには、エタノールによる脳の麻痺と、体内でのエタノール分解の過程で生じるアセトアルデヒドの毒性による酔いとの、二種類がある。

以下に、エタノールによる脳の麻痺による酔いを説明する。

アルコールによる酔いは、エタノールの血中濃度に比例する。しかし同じ量を同じペースで飲んでも、酔う程度は人により異なる。
これは同じ量のエタノールを摂取しても、エタノールの血中濃度は各人が持っている体液の量(体液の量が多いと同じ量のエタノールを
摂取しても血中濃度は低くなる)により変わってくること、および、アルコール脱水素酵素の活性度には
アセトアルデヒド脱水素酵素アルデヒド脱水素酵素)と同じように3種類の遺伝子多型があり
エタノールの分解速度が異なるためであると言われているが、それでは説明できない現象があるため、現在における仮説に過ぎない。

アルコール脱水素酵素の活性度は酵素誘導により増減する酵素の絶対量のほかにも、遺伝による酵素タイプの違い(体質)によって変わる。

そもそもエタノールによる「酔い」の本態は、中枢神経系の抑制が原因である。中枢抑制作用を持つ麻酔とは異なり
エタノールの場合、早期には(低レベルの血中濃度では)抑制系神経に対して神経抑制効果が掛かるために
結果として興奮が助長される(アルコール作用の発揚期)。 血中濃度が上昇するにつれて、運動器意識を司る神経系にも抑制が掛かり
運動の反射時間の延長や刺激への無反応を生じる(アルコール作用の酩酊期)。
さらに血中濃度が上昇すると脳幹まで抑制するので、瞳孔拡大や呼吸停止を引き起こし死に至る。

短時間に代謝量を上回るエタノールを摂取すると、代謝が追いつかず急激に血中濃度が上昇し
発揚期・酩酊期を経ずにいきなり中枢神経系を抑制してしまうことで最悪の場合に至る(急性アルコール中毒)。

エタノールの血中濃度と酔いの態様
血中アルコール濃度 呼気アルコール濃度 影響
0.05% 0.25% 陽気、気分の発揚
0.08% 0.40% 運動の協調性の低下、反射の遅れ
0.10% 0.50% 運動の協調性の明らかな障害(まっすぐに歩けない等)
0.20% 1.00% 錯乱、記憶力の低下、重い運動機能障害(立つことができない等)
0.30% 1.50% 意識の喪失
0.40% 2.00% 昏睡

上記の酔いは、エタノールが体内でアセトアルデヒドに分解されるまでに、エタノールの脳への作用で生じる酔いであり
一般的に言われているお酒に強い体質・弱い体質(アセトアルデヒド脱水素酵素の活性度合いの差による体質)とは関係がない。

近年、飲酒は睡眠薬と同様に少量依存という形をとることが分かってきた。これは、通常、少量だけではあるが、確実に依存し、
体内からアルコールがなくならないよう飲酒行動を伴う。少量のアルコール摂取を繰り返すため、血管の拡張収縮が起こり
血管の老化が早く進み、高血圧を引き起こす。また、適量といわれている量でも、10年近く脳萎縮が進むことがわかっている。
一定以上のアルコールの摂取を続けると、アルコール性肝炎を併発する。また、糖質を素にしたアルコールにも当然カロリーがあるので
酒の肴やつまみなどの食品を摂ることでカロリーの摂り過ぎとなり、脂肪肝を招くことがある。
そして飲酒は急性膵炎の主原因の一つでもある。また精神疾患であるアルコール依存症(慢性アルコール中毒)になる危険性がある。
アルコール依存症患者は偏食となることが多く、栄養失調による障害も併発することが多い。
また栄養障害も長期間にわたるエタノールの直接作用によっても末梢神経は恒久的なダメージを受け、痺れなどの感覚異常を引き起こす。
また、WHOの報告書によれば、飲酒が原因の死亡者数はタバコと0.1%しか差がない。


吸収代謝

胃腸から容易に吸収され、で吸収されたエタノールは、体内ではアルコールを貯蔵する仕組みが無いので
肝臓の代謝量以内であれば)その90%以上は速やかに肝臓で代謝される
(もちろん肝臓の代謝量を超えた分は血中エタノール濃度を上昇させる)。 エタノールを初めとしてアルコールの代謝には
大きく2つの酵素が関係している。アルコールデヒドロゲナーゼ(アルコール脱水素酵素)と
アルデヒドデヒドロゲナーゼ
アルデヒド脱水素酵素)がある。
いずれの酵素も基質特異性が低く、エタノール以外のアルコールも酸化し、水素はNADPに供与されNADPHを生成する。

まず、アルコールデヒドロゲナーゼによってエタノールはアセトアルデヒドに酸化される。ついでアルデヒドデヒドロゲナーゼによって
酢酸に酸化される。酢酸はATPを消費してAcetyl CoA synthetaseによりAcetyl CoAとなる。

通常Acetyl CoAはTCA回路に供給され、oxaloacetic acidと共にクエン酸に転化され、CO2とH2Oに分解されるのである。
がしかし、前述のアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼとが大量に生成したNADPHによって
肝臓ミトコンドリアTCA回路の活性は低下する(TCAサイクル自身もNADPからNADPHを生産するのでNADPが枯渇すると回転できなくなる)。
その結果、グリセリン合成と(NADPHを消費する)脂肪酸合成が亢進する。言い換えると、大量の飲酒は中性脂肪に転化される。

代謝の中間に発生するアセトアルデヒドは分子中に持つアルデヒド基タンパク質の側鎖などのアミノ基と強い反応性を有するため、
エタノール以上に毒性が高く、頭痛や悪心などを引き起こし、いわゆる二日酔い・悪酔い状態の原因となる。
ちなみに「二日酔いに迎え酒が良い」といわれるのは、追加されたエタノールが頭部の血管を拡張させたり、
酩酊期のアルコールが痛覚を麻痺させることにより緩和されているのであり、アセトアルデヒドを解毒しているわけではないので
治療的な意味はない。またアセトアルデヒドは発癌性が疑われるとされている。

アルコール代謝を考える上では2つの酵素のうち2番目のアルデヒドデヒドロゲナーゼはモンゴロイドは代謝能力の弱いタイプの方を
遺伝形質として持つものが多く、おおむね酒に弱い。(一方、コーカソイド系は強いタイプを遺伝形質に持つものが多い)。
遺伝的にこの酵素の活性が低い人はまた、あるいは殆ど酵素誘導されていない人は酒を飲んでも、
アセトアルデヒドの血中濃度が急激に上昇し、愉快になるどころか、飲んだ直後に頭痛、吐き気に襲われる。

日本人には、同酵素の活性が低いか、欠落している人が全体の45%程度いる。
また、10人に1人は体質的にまったくアルコールを受け付けない。習慣的に飲酒するようになると、酵素誘導でそれなりの量の
アルデヒドデヒドロゲナーゼが生成するので「飲めば強くなる」傾向はあるが、程度の問題である。

また、恒常的な飲酒により、薬物代謝酵素CYP(P-450)が多量に誘導されると、CYP酵素がエタノールを分解するようになる。
CYPは(アセトアルデヒドを含めて)エタノールを二酸化炭素へ直接分解するため、多少の量のアルコールでは全く酔わなく
(むしろ酔えなく)なる。この状態になると、麻酔を含め殆ど全ての種類の薬物に関してCYPが作用するために、
薬物が非常に効きにくい体質が形成される。CYPが誘導されるころにはアルコール要求量が急速に増大し
「酒に強くなったと錯覚する」、しかし飲酒量の増大に伴い生活は、いわゆる「アル中」状態となり、
健康も急速に悪化する。すなわち、健全な社会生活の維持が困難になったり、
極度の栄養失調、アルコール依存症あるいはアルコール性神経炎などを併発するようになる。


毒性

"アルコールは合法的な向精神薬である"といわれる。その上、非選択的な神経抑制剤、すなわち麻酔薬に近い要素もある
(もちろん昏睡と死の間の血中濃度が2倍程度しか開いていないので、危なすぎて麻酔薬としては使えない)。

急性期の毒性について考えると、アルコールは中枢神経を麻痺させる性質があるので、多量の摂取によって中枢神経が完全に麻痺すると
呼吸心臓が停止し死に至る。睡眠薬の飲みすぎで死亡するのと作用は同じである。
ほろ酔いが血中アルコール濃度0.05〜0.1%、致死量が血中アルコール濃度0.4%以上といわれている。
つまり作用量と致死量が1:4程度になる。作用量と致死量がこのように近接している"いわゆる向精神薬"は
アルコールのほかに例が無く、ほんの少し飲みすぎただけで死亡する危険性をはらんでいる。

厚生労働省の研究班が飲酒と自殺の関係について男性4万人を対象とした調査によると、週1回以上飲酒し1日当たりの飲酒量が
日本酒3合(アルコール59グラム。ビールなら大瓶3本、ウイスキーならダブル3杯)以上の男性は月に1回から3回飲酒する男性に比べて
自殺の危険性が2.3倍高まるということを2006年3月1日に発表した。これは適量といわれる飲酒でも自殺が増える可能性を示したことになる。
この発表では、過去に飲酒していたがやめたという群については、自殺の危険性が6.7倍と高い数値を示している。
飲酒により引き起こされた病気のために禁酒した者が多いことを暗に意味している。

また、中枢神経の麻痺により理性が利かなくなるので、一度飲みだすと適量でやめるという自制心が働かなくなる。
飲みすぎにより、過度に暴力的になったり、場合によっては平気で犯罪行為を行ってしまう危険性もある。
この点については多くの依存性薬物と同様である。

急性期の毒性は急性アルコール中毒の項に詳しい。

慢性期の毒性は、おもに肝臓と神経系(特に)に対する障害である。アルコール性肝臓疾患(と酒しか口にしなくなることによる栄養失調)により、
身体の栄養状態は極端に悪くなる。栄養失調もまた神経系に障害を与える。
慢性アルコール中毒は精神的依存と身体的依存の双方を示すので身体だけでなく精神あるいは環境面でのケアも必要となる。

慢性期の毒性はアルコール依存症の項に詳しい。



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